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住宅ローン自動審査の考え方とは

これまでの考え方は、新規に住宅を取得する際の判断基準を前提に考えてきましたが、他の金融機関が取り扱っていた住宅ローンを肩代わる際の判定基準はどのように考えるべきでしょうか。「住宅ローンの商品性」でも説明しましたが、最近の住宅ローンの獲得競争により、本来、年収の低い借主も借入期間を超長期とすること、もしくは金利を低くすることで、毎月の返済額が軽くできるためです。住宅金融支援機構が公表している住宅ローン新規実行先の契約期間別をみると、25年、30年、35年の割合が半分以上を占めています。従来、金融機関の見方は、融資実行後何年という「経過期間」で判断することが多いのですが、本来は残存期間でみる必要があります。

毎年の返済額が同じ場合、融資期間20年契約の10年が経過した方と、融資期間35年契約の10年が経過した方では、残高が大きく違うことに注意が必要です。このため、住宅ローン実行後から同じ10年経過していたとしても、ローン残高と物件の評価額の関係を考えれば、残存期間が長いほど回収できない可能性が高いということがいえます。近年の不動産価格の推移を勘案すれば、他金融機関の借入金を肩代わる場合、大半の住宅ローンについては、物件の時価評価額と融資残高の割合は100%を超えているものと想定されます。現在の時価額と融資残高の割合であるLTVと、肩代わり後あと何年間契約が可能かにより算出された年間約定返済額に基づくDTIを算出し、「資格要件」基準を前提に判定することになると考えられます。

競争が激しい環境下において、住宅ローンの販売を強化するうえで重要な要素として、融資を申し込んだ結果をいかに早くお客さまに還元できるか、審査に要する時間をいかにして短くできるかがポイントとなってきています。住宅金融支援機構の民間機関の貸出動向調査において、審査日数の平均は3.4日となっていますが、利用者側からすれば、住宅購入を決心しても、必要な資金を確保できなければ住宅購入は諦めなければなりません。融資してもらえるのかもらえないのか、早く回答をもらえれば計画も立てやすくなります。当然、惜入金額や金利等の条件面がわかれば資金計画はさらに立てやすくなります。

本来あるべき住宅ローン審査の考え方

個人の場合、負債と考えられるのは住宅ローンに限らず、他のローンやクレジットカードの返済等、収入に見合った返済ができるか否かを考える必要があります。つまり、返済比率を算出する際には、住宅ローンの元利金返済額に他の借入金等の返済負担も考慮して判定することが必要となります。その際には、借主から借入状況を確認すること等が前提となりますが、当該内容が正しいか否かを判断するために外部個人信用情報機関の情報も考慮する必要があります。金融機関が加入する個人信用情報機関である全国銀行個人信用情報センターに紹介するのが一般的ですが、関係会社が保証機関の場合は、CICやCCB、全国信用情報センター連合会という個人信用情報機関の情報を活用し判定根拠として利用しているケースもあります。

次に返済が滞った場合、元金の回収を図るには、最終的には物件の処分により回収することとなります。さきの「住宅ローンに潜むリスク」でも説明しましたが、関係会社が保証をしている住宅口-ンの場合でも、物件評価額と融資金額の比率=LTVの割合が重要となります。新規に住宅ローンを利用する際には、DTIの割合も考慮すると一般的には自己資金が物件購入価格の20~30%はあり、残りの70~80%を住宅ローンで調達することが標準的なケースで、保証会社による審査のポイントにおいても当該比率が重視されています。

つまり、融資できるか否かの判断により利用者を選定したうえで、約定どおり返済してくれるのか否か、物件により融資金を回収できる見込みはあるのか否かという観点から「融資判断」することになります。一般事業先に対する融資の場合は、当該事業先の信用度を図るうえで「信用格付」を用いる金融機関も多いのですが、住宅ローンも同様に「LTV」と「DTI」を用いた格付モデルを適用することも検討する必要があります。縦軸をLTV、横軸をDTIとし、A(優良)→H(注視)というように区分することで、住宅ローン審査上でさまざまな判断基準を設けることが可能となります。

返済にまったく懸念がなく、物件による回収可能性がきわめて高い「リスク」の低い利用者には、適用金利を優遇する、つまりリスクとリターンの関係から判断する基準を設けることが可能になります。近年の金融機関における住宅ローンの金利優遇に関しては、取引金融機関の他の商品サービス(給与振込み等)の利用有無により優遇幅を決定するケースが大半ですが、住宅ローンは貸出債権の一種であるという観点からすれば、「リスク」と「リターン」の関係から判定基準を設けることが一般的であると思われます。ただし、契約期間中の解約リスクを極力低く抑えるための方法論として、「自機関との取引基準に基づく管理区分=取引度判定」と組み合わせることで、「優遇条件」をさらに精緻化す
る方法論も考えることができます。

住宅ローンの初期与信の考え方

金融機関において住宅ローンは、景気低迷で中小企業貸出の増加がむずかしいなか、貸出残高のボリューム確保のために残高を増加・維持することが最優先されていました。また、商品特性から、万が一、借主が返済を滞っても保証会社がかわりに元本返済を行うことで、損失を被るリスクはほとんどないということもあって、一般事業会社向け融資における審査基準と比べれば非常に甘い対応がなされているのが現状です。ここでは、住宅ローンに潜むリスクを把握し、管理していくためにも、住宅ローンという貸出業務における本来あるべき審査の仕組みについて考えてみることにします。金融機関として健全な業務運営を行うという前提において、期待される収益と想定されるリスクのバランスから融資審査の基準を考えると以下のとおりです。基本となる要因は4つあると考えることができます。

①融資取引ができるか否か「資格要件判定」
②融資期間中に返済を滞る可能性があるか否か「信用リスク判定」
③万が一返済が滞っても回収は可能か否か「担保評価判定」
④契約期間中は継続的に取引をしてくれるか否か「取引度判定」

つまり、一定収益を確保することができ、損失する可能性がきわめて低い取引先か否かを見極める基準が必要となります。実際には、取引先に対する営業活動を最大限効率化することで収益性を高めることが必要となりますが、販売手法でもある「営業活動費用」におけるコスト面をどのように考えるかについては、さきの「住宅ローン業務プロセス改革」にて考察したいと思います。それでは、上記4つの要因を考える場合、どのような基準に基づき考えればよいでしょうか。現在の住宅ローン商品における一般的な「資格要件」も参考にしながら考えることにします。まず、重要な点は、当該商品を利用することができる取引先なめか否かを判定する必要があります。

また、貸し出したローンを契約どおり返済してくれるか否かを見極めるととも重要です。つまり、「契約期間中に定期的に安定した収入があるか否か」という点が重要となりますから、年間の収入があるのか否かを見極めるうえでポイントとなるのが定職に就いているのか否か、就業期間はどれだけか、最終契約期限の年齢は65~70歳までに収まるか否かという観点から「年齢」と「年収」という条件面を考慮した資格要件の基準を設けなければなりません。次に、契約期間中に返済が滞るか否かを見極めるには、年間の約定返済額合計額に対する年間収入の割合=年間返済割合という比率を活用します。つまり、DTIが高ければ月々の返済が厳しく、年収が下がったり、支出が増加する等の変化に対応する余力がなくなることから収入に対して一定の基準を設けるのが一般的になっています。

住宅金融支援機構の民間機関の貸出動向調査においても、審査項目で重視する項目として「返済負担率=(毎月返済額/月収)」を6割以上の機関が選択しています。ただ、住宅ローン商品として考えた場合、返済比率の出し方には2パターンあります。一般的には年収に対する毎月の返済額の割合を示すDTIですが、バブル期には、年収倍率という考え方がありました。年収に対して何倍までの与信枠を設けるかというもので、バブル期は、どちらかというと、図にあるほうを採用しているケースが多かったようです。当時は返済できなくても、担保として提供される物件価格が上昇するため、当該物件を処分するこどで回収できるという大前提があったからです。現実的には「年収返済比率=DTI」のパターンを使うのではないでしょうか。

住宅ローンの解約リスク

一般的に「貸し出した融資金が契約されている期限前に返済されることにより期待されていた収益機会を失うこと」を解約リスク=プリペイメントリスクといいます。住宅ローンに関しては、一般事業者向けの融資と違い、貸出期間が長期になりますから実行した後の管理が重要になります。これまでの金融機関の営業戦略を考えると、新しく商品を利用していただくまでは積極的にアプローチをかけますが、契約に結びづいた後の対応に関してはほとんど関知しないというケースが大半でした。住宅ローンに関しても、新規に住宅を購入する先、他金融機関の借入金を肩代わる先どちらについても、獲得するまでは管理しますが、融資を実行した後はほとんど管理していないのが現状です。

渉外担当者等も、お客さまを管理する基準は預金や預り資産の残高が一定金額以上の方しかみていません。当然、住宅ローンを利用しているお客さまは、ローン残高は高いですが資産残高は少ないため管理対象外となるケースがほとんどです。貸出資産を評価する「自己査定上の際も、住宅ローンだけの先に関しては約定返済が契約どおり行われていて延滞状態になっていなければ「正常先」として具体的にアクションを起こすケースはほとんどない状態と思われます。現在のように低金利の状態であっても住宅ローンに関しては一定の利鞘を確保できているのであれば、長期間安定的な収益資産として期待できる商品でもあり獲得までに相応の負担をかけても採算はとれると判断しているのが一般的です。

しかし、住宅ローン市場が飽和状態に近くなっている状況下、金融機関間の競争が激しくなっており、かつ、金利の引下げ競争が起きているなかで、前述のように利用先に対して、実行した後の管理をいっさい行わない場合、肩代わりされるリスクが非常に高くなります。これまでの住宅ローンに関しては、年功序列・終身雇用という日本特有の雇用体系を前提に超長期の貸出期間を設定し、若い時代の返済負担を軽減し、退職時に残金を一括して返済するという慣習により組み立てられており、55歳から60歳になると退職金で残金を返済するケースがほとんどでしたが、最近では、利用者側のライフスタイルも変わり、金利や返済方法等を時々の家計の経済状態を加味していちばん適した商品へ乗り換えることが当然のようになっていることも1つの要因と考えることができます。

金融機関における住宅ローン利用者の取引状況を、融資実行後からの経過年数ごとに分析すると、前述のとおり、「資金使途」「返済方法」「適用金利」の組合せと借主の年齢や他商品サービスの利用状態によっても特性は異なりますが、融資実行後5~10年目に全額返済となるケースが顕著に現れています。本来であれば、長期間取引を継続してくれるお客さまは「採算性」も高くなるのですが、5年を経過した時点で繰上返済になれば期待した利益を得ることはできないといえます。住宅ローン商品は、製造業や小売業で取り扱う商品のような明確な原価計算はむずかしいですが、「採算ライン」となる適用金利により毎年得られるべき粗利益額を現在価値に割り引き、一方で住宅ローンの契約を獲得するまでにかかる費用を算出し採算ラインを算定する方法も考えられます。ただし、基本は、長期間継続して利用していただくように「解約」させない営業施策を確立することが重要であると思われます。

融資を実行する条件とは

一般的に信用リスクとは、借主が借り入れたお金を約定どおり返してくれなくなり貸倒れになること=デフォルトすることで損失を負う危険と表現することができます。金融機関にとっての信用リスクは最終的に貸出金がどれだけ毀損するのかということになりますが、金融機関が扱う住宅ローンの大半は系列の関係会社や業界団体が設立している保証会社を使用することで最終的な回収ロスはないという前提で考えられているようです。保証会社の保証料については借主が一括で支払っているのが一般的ですから、期間中にデフォルトする信用リスクのコストは考えなくてよいという組立てになっているのが一般的です。

金利リスクのところでも説明しましたが、現在の住宅ローンの推進については、ボリュームをいかにして引き上げるかが重要であり、採算性や貸倒リスク等をあまり考慮しないケースが大半なのです。信用リスクの要素である「デフォルト確率」に関しては、貸し出した資金を約定どおり返済してくれるか否かを見極めることですが、多くのケースでは返済が滞ったとしても保証会社が全額負担してくれたり、また、大半の利用者は団体信用生命保険へ加入することが多いため、借主が死亡した場合も借入金の回収に懸念はないことから「デフォルト」のリスクはほとんど考えていないのが実情です。前述のとおり、近年では、疾病等により収入が途絶えた場合の補てんとして「保険」を付保するケースも出てきており、貸し出した元金の回収について、債務者の返済能力に関してある程度考慮すればよいという状況になっているのが一般的といえるでしょう。

しかし、地方銀行のように関連会社が保証業務を行っている場合は、連結決算という観点からすれば、住宅ローン先がデフォルトした際の毀損額は直接的に影響することになります。信用リスク量については「デフォルト確率×未保全金額(融資残高-物件時価額または処分見込額)」にて算出することができますが、基本的には、延滞が長期化して返済することが困難になった場合は、物件を処分して貸出金を回収することとなりますので「処分見込額」を正確に把握することができなければ、信用リスクへの対応はできていることにはなりません。物件の時価額と借入金残高推移の関係を簡単にシミュレーションしたものが図です。

自己資本比率規制=バーゼルⅡの際に、適格住宅ローンとして判断をすることができるか否かを監督官庁がシミュレーションした結果、融資を実行した際の物件評価額と融資金額との比率=LTVを考えると、おおよそ70~75%であると契約期間中の物件残高と融資残高との差は逆転しないといわれています(土地付建物の場合)。つまり申込物件の時価額が仮に4,000万円としたとき、融資額は70%ですから2,800万円までになります。これは土地付建物であれば、建物の償却が終われば土地のみの価格になりますから、融資実行後15、16年ぐらいたつと、物件時価額はほぽフラットになっていきます。当初の融資実行が時価額の70%を超えている場合は、3年、4年たった段階で残高と時価額の比率=LTVは100%を超えてしまうケースが発生します。この場合は新しい自己資本比率規制における適格住宅ローンの範躊には該当しないこととなります。

2007年3月まで特例規定があり、その前までに実行したものについては、物件の時価額の洗い替えは必要ないといわれていました。ただ、同年4月以降の新規の物件については、おそらく洗い替えをして、適格か非適格かという判断をしていると思います。つまり、融資を実行する条件としては当然、LTVは80%までという条件を適用することになると考えられます。しかし、借換えなどの案件では、LTVは100%を超えているのが大半であるとみられます。特に、マンションは100%を超えているケースが多いと思われますが、その時に、リスクアセット35%の住宅ローンではなく、一般個人の75%アセットのローンという、「その他リテール」という見方をする必要がありますが、営業推進上、このような取扱いでよいのか考える必要があるでしょう。

これまで積極的に住宅ローンを推進した理由の1つとして、バーゼルIでは、リスクアセットが50%という条件がありました。事業法人に1,000万円融資するのと、住宅ローンを1,000万円融資するのでは、リスクアセットが100%と50%ですから、当然アセットの低い住宅ローンを推進します。利鞘が法人融資より若干低くても、自己資本比率対策上、住宅ローンの推進に注力されていた要因の1つでした。そこがバーゼルⅡにおいて見方が変わりました。他行融資の借換えが主体となってきた住宅ローンのアセットを考えたときに、新しい基準で考えると、地域によって異なると思いますが、資産管理体制や自己資本管理体制という位置づけのなかではアセット額が高まる等マイナスに働く要素が多いため、新たな対応方法を考える必要があるでしょう。

変動金利型住宅ローンの特徴

変動金利を適用した場合、低い金利が今後10年、20年間同率で続くということはありません。変動金利型住宅ローンの場合は、6ヵ月ごとに適用金利を市場金利の動向を加味して見直しますが、定められた元利金返済額に関しては5年間変えない仕組みになっています。金利が下がれば元金の返済額をふやし、金利が上がれば元金の返済額を減らすことで調整しています。また、5年おきに見直す返済額ですが、見直し前の返済額の1.25倍が上限となっていることが多くなっています。ということは、契約時点で1%の変動金利が今後の長期金利の動向によって4 %以上に上昇したとすると、30年間のローンの場合、利息の支払額が毎月の元利金返済額を上回ってしまうことになります。

バブル期に長期金利が9%近くまで急上昇した際に、実際に発生した事例ですが、約定予定額では利息も支払えなくなり、結果として利息が未収となる事態です。借入れをしている一般の利用者にとっても、金利が上昇に転じれば契約期間中の支払利息額が増加することになりますが、金融機関側は利息や元金の回収ができなくなることになるのです。金融機関の場合、適用金科に関しては積上げ方式で体系化することがほとんどです。住宅ローンも基本的には「資金の調達コスト」「営業活動のコスト」「デフォルトした際に見込まれる損失率=信用コスト」「期待する利益率」から構成されなければなりませんが、昨今の金融機関は、適正な金利による収益を考えるよりも、貸出ボリュームを重視するあまり、適用金利は競合する他行動向を加味した設定になっているようです。

つまり、現在の住宅ローンは高い収益性が見込まれるリテール貸出め「雄」という側面はなく、場合によっては不採算になっている可能性があるのです。固定金利に関しては、中長期的な観点から今後の金利上昇の可能性を見越して変動金利よりも高く設定するケースが一般的です。最近は、契約期間中の金利を固定するために、デリバティブ等の金融工学技術を活用して、一定期間低利な金利を適用するケースも多くなっていますが、固定期間の期日が到来した際の対応を考えると、急激に金利が上昇した場合の対応を考慮しなければなりません。

特に、5年、10年と期間を固定して低利な金利を適用しているケースも多いのですが、期間中の収益性は確保できているのか、契約期限到来後の金利決定で引き続き利用を継続してもらえるか否か、管理面からも検討しなけ、ればなりません。さらに、契約期限前に繰上返済をする場合、多額の違約金を徴収するケースがありますが、商品を契約する、際に「商品説明」を正しく行っていなければ、お客さまとの間でトラブルになる可能性もありますので、細心の注意が必要といえます。基本的に銀行のビジネスを考えた場合、ローンは1年間以上継続して一定の残高を維持してもらわなければ、最終的に想定された利息を受け取ることができないという営業モデルです。

車やテレビのように商品を買ってもらった時点で利益が計上されるわけではなぐ、1年間、契約されている残高を確実に維持してもらうことが前提で、貸出金利を体系化しているため、契約期間中に金利が変更になったり、早期返済や解約がなされた場合、これらのコスト負担や期待損失を的確にとらえ、そのうえで適用金利を決定する必要があります。商品としての優位性向上だけのために適用金利を引き下げる方策は、金融機関としての収益に重大な影響を与えることはもとより、対お客さまとの関係上においてもさまざまなリスクを内包していることを理解しておく必要があります。

住宅ローンの推進・管理

実際に住宅ローンの推進、管理を行うにあたり、このような見方がなされているかどうか考える必要があります。事業法人融資については、個者別採算により、収益とコスト、リスクに見合うかどうかにより、貸出金利を決定し、格付という概念からリスクを体系化していると思います。ところが、住宅ローンについては個者別採算のような見方をされているかというと、おそらく実施されていないのではないかと思います。住宅ローンに関する信用リスクはおそらくゼロととらえている方が多く、特に保証会社保証による住宅ローンのケースではそのような指摘がよくなされています。ところが、新BIS規制のバーゼルⅡでは、関連子会社については連結でみなければいけません。

地方銀行の保証会社のように連結でとらえた場合は、基本的に当該リスクを考慮していることが多いのではないかと思います。しかし、業界団体等の外部保証を受けているケースでは、リスクをみていないケースがほとんどではないかと思います。金利についても、現実的には激しい獲得競争がありますから、自社のコストやリスクを勘案するのではなく、競争で勝ち、ボリュームを積み上げるための金利体系の設計をおそらくされている機関が多いのではないでしょうか。ただし、市場が右肩上がりの時のように、ボリュームがふえることで収益が得られたとしても、現時点では本当にその貸出から収益を得られる仕組みとなっているか、常に見直していくことも必要となります。

つまり、住宅ローンの場合、一股的には長期間の「元利均等返済」型商品が主流で、おそらく最初の5、6年は利息収入が多く、収益性が高いといわれていますが、一方でこれらの商品のリスク面もあわせてみていく必要があります。住宅ローンのリスクとしては、「金利リスク」「信用リスク」「解約リスク」「法務リスク」「システムリスク」が考えられます。以下、金利リスク、信用リスク、解約リスクの概要について考えてみます。新設住宅の着工戸数が伸び悩み、新規住宅ローンの取扱い競争が激しくなるなか、「金利競争」は激しくなる一方です。金融機関の住宅ローン商品は、住宅金融支援機構が提供する「フラット35」に代表されるように、固定金利約定型(一定期間金利を固定する)が主流となっていました。

しかし、十数年以上続く超低金利時代の昨今、1%以下の変動金利を提供する金融機関も出てきています。たしかに、20年、30年の長期期間の元利均等返済において、約定金利が2.5%、3.5%と1%の場合で毎月の約定返済額の元利金額を比較すると以下のとおりとなります。約定時点の金利が低ければ低いほど、毎月の返済額は低くなりますので、当然、収入が低い若年世帯の方々にしてみれば毎月の返済額が軽減できる「変動金利型」の金利の低いほうを選択するのが当然と思われます。特に都市銀行は、最近の新規貸出住宅ローン全体の9割以上は変動金利となっています。地方銀行も8割近くは変動金利という状況です。