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住宅ローン業務プロセスにおけるリスクマネジメント

住宅ローンに潜むリスクの体系化という観点だけではなく、内部統制の強化という観点から考えた場合、住宅ローンにおける業務プロセス定義を精緻化する必要があります。住宅ローン商品の販売チャネルは多様化しており、受付から審査、実行までの全行程をインターネットのような媒体を通して実施するケースも出てきていますが、商品特性だけではなく、返済が滞った場合の対応など、受付から返済までの全行程で留意すべき点を明確に説明する体制ができているかどうかを検証する必要があります。

また、受付時点の説明を、業務提携により金融機関以外の業者へ委託するケースの場合も、その際に「商品概要」「審査基準」「実行後の扱い」など重要事項に関する説明態勢ができているか否かを検証することも求められており、住宅ローン商品販売の業務プロセスにおける全行程の業務規程内容を明確に体系化・文書化する作業もあわせて検討する必要があります。提案段階では、本来取り扱うことができないリスクのあるお客さまへの営業活動をしていないか、積極的に推進すべきお客さまへの対応が遅れることで機会を損失しないか、金融機関内部の情報活用のルール化を定めることです。

受付段階においては、商品別に定められた利用資格要件を見過ごしていないか、また、お客さまに対して不適切な条件提示や適用してはいけない金利条件を提示していないか、獲得を意識した安易な優遇条件をしていないか、融資運営規程に則した対応をしているか確認しなければなりません。審査の段階では、本来あるべき審査基準(金額、金利、保全等)に違反した内容になっていないかをチェックしなければなりません。実行段階では、承認された条件を逸脱していないか、契約手続に遅延や誤りはないか、保証条件に違反はないか確認したうえで実行しなければなりませんので、事前の確認が重要となります。

また、実行後の管理段階では、約定どおりに契約が履行されているかの確認のほか、管理業務全般について未処理となっていないか確認する必要があります。つまり、業務の効率化も含めた業務プロセス改革を行う際には、想定されるリスクを制御・統制する方法についても、業務運用面、システム面の両面から検討することが必要になります。この考え方は、プロセス定義により体系化・文書化することにより「事務事故や不正行為」によるリスク発生の危険性を可視化するものですが、住宅ローン商品に限らず、他の商品サービスについても同様に業務プロセスを体系化する体制を整えることにより、「日本版SOX法」への対応としてとらえることができる点を補足しておきたいと思います。