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保証会社保証付きの住宅ローン債権の特徴

現在の住宅ローンモデルにおいて問題となる点は、審査の段階で、保証会社による保証審査が通れば獲得可能という、入口段階における確認要件(住宅物件概要、借主特性等)が安易に流されるとともに、申込書から審査に必要な書類等すべてが保証会社へ渡り、銀行内部に情報が残らないという状況になっていることが多い点です。つまり、一般事業会社融資の場合と異なり、審査後の管理・回収業務の大半が保証会社任せになってしまうことから、自己資本比率規制である新BIS規制における「内部格付手法」採用の際の条件となるリスク計量化に必要なパラメータ(PD、LGD、EAD)推計が困難になっていることです。

また、保証会社保証であり、デフォルト(延滞含む)した際には、代位弁済により全額返済されるからLGD(損失率)はゼロであると判断することは現実的ではなく、保証会社が代位弁済に応じるに値する信用力があるか否か判定する必要があります。関連会社が保証会社の場合、グループ内にリスクが内在する状態に変わりはないわけですから、損失の可能性はトータルで評価しなければなりません。保証会社保証に基づく住宅ローンモデルに関しては、借主が返済を滞った際の回収業務(~融資業務のなかで最も手間と労力を要する分野)をすべて専門会社である保証会社へ業務移管することで、銀行本体としての負担を軽減させることに重点を置いた営業モデルにほかなりません。

そのため、債権保全の方法も、保証委託契約に基づく担保権の設定であり、貸主(=銀行)と担保権者(=保証会社)が異なるという、わが国固有の権利体系にもなっています。また、今回の新BIS規制において延滞債権(90日以上)に関しては、引当率に応じたリスクウェイト(標準的手法ではMAX100%)が設定されています。しかし、保証会社保証付きの住宅ローン債権の場合、一般的に、延滞が3~6ヵ月を超えた時点で保証会社へ代弁手続を行う事務処理となっており、90日を超え延滞債権となっている場合は対応を考える必要があります。保証会社が100%返済してくれるので回収ロスはゼロと判断することもできますが、顧客との取引関係を勘案すると、地域金融機関の場合は、形式的に代弁手続を実行できるか否かはむずかしい状況にあります。代弁手続を実施すると当該顧客はブラック情報として個人情報機関に登録されることとなり今後の生活に大きな支障が生ずることとなります。

金利固定型住宅ローンの金利更改時に返済額が上昇することで一時的に返済が滞るケース等、顧客との交渉により回復する可能性のある債権に関しては90日を超える延滞の状態もありえます。しかし、この場合、延滞時点における担保物権の時価評価額とローン債権との差額=損失可能額について引当金を計上する必要性があるのか否か、引当金を計上するのは保証会社なのか銀行なのか、明確な取決めを定めておく必要があります。基本的に保証債務履行により全額代位弁済されるという商品性を勘案すれば、銀行におけるローン債権の損失発生部分は「ゼロ」という解釈になるはずですが、関連保証会社が最終的に損失を被った額=LGD情報をどのようにして体系化しておけばよいのかも取決めが必要です。また、第三者の保証会社(非格付先等)の場合は、当該会社による保証能力をいかにして評価し、回収ロスが発生するか否かを判断する必要もあります。